科学者の9割は地球温暖化CO2犯人説はウソだと知っている
丸山茂徳 著/宝島社
現在大勢を占める科学的知見と反して、寒冷化を主張している。この本は、結局何がいいたいかというと、
・温暖化は科学者にとって自己目的的な詭弁だ
・環境問題の本質は人口問題だ
簡単に言ってしまえば、いろいろな分野が細分化して相互の交流が難しくなり、そのため、こと科学においては諸分野が自己目的的な、保身のために、詭弁を正当化しようとする動きがある。温暖化論はそれに過ぎない、ということが本論なのだろう。でも、いまや相互に交流ができないと自ら言及している他分野を あえていとも簡単に縦横無尽にかいつまんで、「石油の無駄遣いだから、地方地域や個々の人家は 地方都市の主要駅の駅前にピラミッド型集合住宅を 建てて住むのがよい」とか、「太平洋戦争は母親が起こした」 という説明は、多くの人にとって受け入れがたいと思う。 また、話の展開も、
温暖化ではなく寒冷化↓
寒冷化すると、石油の枯渇が問題↓
そもそも石油の枯渇は・・・↓
人口問題↓
そもそもの原因は国家論
というもので、論理が飛躍しすぎている。そして、肝心の「寒冷化」に対する対策は書かれていない。おそらく、これまでの対症療法的な対策への 反省もこめて、このような「そもそも論」を展開しているのだろうけれど、上記のような展開では飛躍しすぎているので納得しがたく、説得力が感じられない。
でも、「農業形態のグランドデザイン」や、人口に関する長期的展望と対策は確かに必要だと思う。だったら、科学者の見地から寒冷化に対する対策と、必要となる他分野での対策への協力要請、という形で提示してほしい。科学者として真剣に寒冷化を主張するならば。