2009年4月11日土曜日

真昼のプリニウス

池澤 夏樹 著/中央公論社

うさぎは、分かっているのに不思議と罠に つかまってしまう。
文中に出てくるこの一つのエピソードが、
まさに、説明の付かない人間の「衝動」を うまく表していると感じます。
身の危険を以っても鎮められない自身の 内なる衝動に身を任せる主人公の姿は、
読者にも同じような高揚感を抱かせます。
きっと読者の経験に呼応する何かがあるのだと思う。
クライマックス、最高峰に登りつめるような、
数学の「極限値」とも言うべき数行で 沸騰です。