2009年4月11日土曜日

農協の大罪

山下一仁 著/宝島社
農協、農水族議員、農水省のトライアングル=政治構造を挙げ、本来は農業振興目的であるはずの組織や仕組みが 自己目的的であると明確に指摘している。
現在の日本の農政が、専業ではなく兼業農家のための、しかも農業とそれに従事する人ではなく「農家戸数」を確保することを至上としており、『農協は金融機関である』という明確な指摘は、「農協ってどういう組織なんだろう」と素朴に思ったことのある人に、本質を伝えると思う。

すばらしい的確な指摘だと思ったのは、「農業のいわゆる”多面的機能”が経済学で言うところの”外部経済”にあたるというのであれば、それは市場原理による価格とは 別の原理である財政負担でまかなうべき」というところ。
農林水産業の多面的価値については、いろいろなところで語られているその説明を一つずつ見ていくと、突っ込みどころが満載である(ほとんどが自己目的的)ことを、この一文が総括している。