脳とクオリア―なぜ脳に心が生まれるのか
社茂木 健一郎 著/日経サイエンス
対象にすべき事物の前に立ちはだかるのは、すべてこのことでないか。脳が感じたときの質感「クオリア」について、その紹介と関係する周辺理論について、仮説を交えて紹介している。認識とは?意識とは? 考えるとは?理解するとは?まるで高みに近づくために次々に前提を掘り下げて どんどん地下に下がっていくような 読み物。
1冊で分かることは、クオリアを扱うことが、おそらく「理解」の本質に近づく 蓋然性が高いであろう事と、その深淵さ。足元をどんどん深堀りしてもまだ岩盤に到達しない。人文科学と自然科学がその領域を広げて 重複すらしている今日、人間が「分かる」「知覚する」「理解する」というのはどういうことなのかを、もっと明確に捉えれば、もっと社会は発展するはず。 もやもやしたものに名前をつけて、対象として扱うところから始めよう。