落とし穴―鎌倉釈迦堂の僧たち
杉本 苑子 著/PHP研究所
落とし穴だよー って警告もなしにある、それが落とし穴。小説も映画も、「まさかそんな風になるとは」っていう展開は 以外に少ない。小説も映画も、登場人物に感情移入させることによって 見る者を「物語」に参加させるけれど、物語とは少し違う「お話」がここにある。この本には、落とし穴としか言いようのない 展開が待っている。しかも「善意」や「道」に 身を捧げる僧たちをしてそんな落とし穴におとしめてしまう。
「人間はなぜ落とし穴に落ちてしまうのか」・・・「それは人間だから落ちてしまうのだ」 という問答が長い言葉で小説になっている という感じ。