フロー体験 喜びの現象学
M. チクセントミハイ, Mihaly Csikszentmihalyi 著, 今村 浩明 訳/世界思想社
楽しい、とは何か?そのような状態はなぜ起こるのか?さらにその先は?本質は?
いやあ、面白かった!
・達成する能力を必要とする明確な課題に注意を集中して
いる時、人は最高の気分を味わう。
・意識の統制が 生活の質を決定する。
・心的無秩序状態(高エントロピー)に際して、
自分の注意力を注ぐことで秩序を作り出す。
マラソンランナーを待っているのは長く苦しい42.195kmだけか?
敦煌の莫高窟の仏像を彫り壁画を描いた僧たちはその地道な作業を嫌々やっていたか?
皆が認める苦しいことに集中する人は、苦しさを追い求めているのか?
否。
さらに、個々のフロー活動を、有機的に全人生に結びつけることへと展開する。「意味」というやつ。
マズローの欲求の五階層理論をより包括的に取り込む。
知恵の果実をもぎ取った以上は、複雑さはいわば目指される方向である。
これは意識の演繹的なブラウン運動の軌跡とも言えるかもしれない。
差異化から統合へ。
その全人的知恵は、まさにこれから生まれると思う。
これは、本当にすごい本です。